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File.EN00005 | 2008/06/03 | Entertainment
Art-Mobileポルシェ特集
Feel Like Making Love 〜 だからポルシェは違う
桂伸一 Porsche GT2を駆る (アウトバーン300km/hオーバー全開走行)

画像提供 : ポルシェジャパン

ポルシェは違う
 「新しい GT2 はニュルブルクリンクを 7 分 32 秒でラップします。」ドイツでの試乗会場で開口一番ポルシェの担当者が言った一言に、これまで何度も参加しているジャーナリストが一様に驚いていた。ニュルのタイムを担当者の口から発せられたのは初めてのことらしい。この GT2 が出たタイミングは、日本で NISSAN GTR が発表され、ポルシェを意識したニュルブルクリンクでの走行タイムの発言が目立った時期であり、それをポルシェ側が意識していることを裏付けた。ポルシェにとってニュルはホームコースであり、今まではあえて発言しなかったものだ。

 それはさておき、今回は速度無制限のドイツの高速道路アウトバーンでの試乗となった。普通にトラックやバスが走っている高速道路にも関わらず、怒濤の勢いで襲うトルクに全身がシートに押しつけられながら、軽く 300km/h をオーバーしてしまう。ポルシェ最強と言われる 911ターボの310km/h よりも高い 329km/h を実現したという、GT2 は凄まじい潜在能力を持っていた。速度無制限のアウトバーンでは速度差が認知されているため、日本の高速道路のようにおいそれとトラックが追い越し車線に入ってくることはあまりないのだが、速度差 200 km/h で追い抜くのは決して気持ちの良いものではない。でもその時の空力特性を含む安定性、トラックを追い抜いた時の風圧や横風に対する安定性は「ポルシェは違う」と実感させられた。
最強のポルシェ
 この後フリーガーフォレスト空港に移動。ポルシェの開発ドライバーのヴァルター・ロール氏の助手席走行が待っていた。広い滑走路とはいえ、路面は自動車道路ほどバンプもデリケートではないし所々水たまりもある中、300km/h オーバーの最高速に達した時にロール氏がニヤッとこっちを向いて笑ったかと思うと、ハンドルから手を離してフルブレーキング。それでもまっすぐ止まるというのは驚異的。しかも GT2は四駆ではなくてリアの重いRWDの二駆ということを考えると、いくらABSが効くとは言っても、すごいボディバランスだ。ブレーキングの途中水たまりを通過してもハンドルに触れないまま、あきれるほどまっすぐ止まる。これは国産車にはないだろう。とにかく高速で走ることを常に考えて作られているポルシェのすごさをまざまざと感じさせられた。
 997GT3が初めてポルシェで欲しいと思ったクルマだった。それはハンドリングの良さとエンジンの気持ち良さとむせび鳴くような共鳴サウンドの魅力。GT2はどちらかと言うと前の996モデルまでのような『直線番長』の延長線にあるのだろうと想像していたのだが、997GT3に乗った時に感じたすごいハンドリングが GT2 にはある。GT3 のハンドリングと、996 のターボをさらにパワーアップさせたエンジンを備えた、まさに最強のポルシェだった。
ポルシェの本当のすごさ
 表現が難しいが、ポルシェにはドイツ人の不器用さが功を奏している所があるような気がする。日本人だったら『こんなことをしたら壊れるに決まっているからやめておこう』という変な繊細さがある。でもドイツ人は『壊れたから今度はこうしよう』『誰が乗っても安定しないなら安定するようにしよう』ということを60年間コツコツ積み上げてきた。それがポルシェの完成度の高さのような気がするのだ。今でこそ日本もボディ剛性を口にするけれど、ポルシェはそれを最初から持っていた。すべてに強靭で、モデルが違っても同じ味に作る。ボクスターでもGT2でもポルシェはポルシェという共通の味を持っていてすごく頑固。GTRとスカイラインクーペとセダンが全然違う味付けというのと比べるとポルシェの味付けは実にわかりやすい。
 ポルシェに限らずドイツのメーカーは重役達が皆相当のドライビングテクニックを持っている。日本の自動車メーカーの重役達が箱根でガンカン走り回って、ターンパイクのドライブインでホットドッグかじりながら『このクルマはこうしよう』なんて言い合ってる姿は想像できない。そういう文化の違いは比較のしようがないほどだ。
ポルシェの未来像
 エコが叫ばれる中、スポーツカーの未来、ポルシェの未来は一般的には明るくないように思うだろう。ポルシェもハイブリッドセダンを作ると言っているので、エコはエコで今まで同様コツコツと積み上げていくのだと思う。
 ただ、今回のGT2 で300km/h 走行で瞬間燃費計とはいえリッター7.5km出てる。300km/h 走行で7.5kmなど普通のスポーツカーではあり得ない。その上、これはAMG(メルセデス)もM(BMW)社もまだ達成していないことだけれど、500 馬力以上でCO2の排出量が300g を割っているのはGT2だけだ。このようにGT2 が環境にも対応しているということは驚愕に価する。これは、フォルクスワーゲンがたった1.4リッターのエンジンにスーパチャージャーとターボをつけて170馬力を実現したTSIエンジンのような燃料を噴射する技術開発をしていて、そのVWの大株主でもあるポルシェもハイブリッドだけではなく、ガソリンエンジンでありながら環境に優しく、なおかつポルシェでありつづけるエンジンを、あえて声をあげずにコツコツと開発している過程にあることを証明していると思う。
 スポーツカーと言えばじゃじゃ馬のイメージがあるかもしれないが、ポルシェ911は女性も抵抗なく乗れるクルマ。そこが受けている理由だと思う。とても優等生で怖さも感じない安定性を持っていながら、とんでもない速さも持っている。扱いにくさを感じない完成度は低速の一般道でも安心して運転できる反面、プロがサーキットで走ってもドライビングの楽しさを感じることのができる二面性が共存できているすごさ。
そういう意味でもやはりポルシェは、今年スポーツカー製造60周年を迎えた歴史が作り上げたピュアスポーツカーだ。
Photo Gallery
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ポルシェジャパン 提供 「だからポルシェは違う 〜 Photo Gallery」 をご覧ください。

PROFILE

桂 伸一
[モータージャーナリスト・レーシングドライバー]

モータージャーナリストとして車全般、と言ってもレースをやっていることもあって、速くてパワフルなスポーツ系の試乗が多いです。毎月のようにヨーロッパに行って、日本では出せない速度域の試乗する機会が多いので、そんなレポートができればいいな、と思っています。

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ポルシェジャパン
http://www.porsche.com/japan/jp/

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